清酒道灌について

とくとくと足り来る酒は
道灌の歴史に残る
山吹の色

世の中に鳥も聞えぬ里もがな
ふたりぬる夜の隠家にせむ

待ちあへぬ命に花をみ
吉野やよし立ちかくせ峰のしら雲

一声の夢をももらせ東路あづまちの
関のあなたの山ほととぎす

秋の野の千種ちぐさに
わけし心をもひとつになして月を見るかな

待ちあへぬ命に花をみ
吉野やよし立ちかくせ峰のしら雲

うつし植ゑて共に
老木の桜花なれも
昔の春や恋しき

七重八重 花は咲けども
山吹の みの一つだに なきぞ悲しき

里は荒れ野となる
霞の深草や鶏

待ちあへぬ命に花をみ
吉野やよし立ちかくせ峰のしら雲

我庵は松原つゝき海近く
富士の高嶺を軒端にぞ見る

うつし植ゑて共に
老木の桜花なれも
昔の春や恋しき

清酒道灌の由来

祖は江戸城築城の名手、
太田道灌
幾多の変遷をたどりつつも、
守り続ける道灌の一滴

時は室町時代。我々太田家の先祖である太田道灌は江戸城を築城しました。
多くの戦を制した武将として、また、数々の歌を残した歌人として、非凡な才能を備えていた太田道灌は、江戸城をはじめ数々の名城を築いたことから「築城名人」とも称えられています。

太田家が本格的に酒造りを開始したのは、そんな江戸城築城から約四百年後の明治初期。江戸幕府の内命を受けて草津に移住していた太田家は、当時所有していた田畑と年貢米の近江米を有効に使うために、酒屋講の権利を得て酒造りを始めました。

そうして造り始められた酒は、遠祖の名に因んで銘酒「道灌正宗」と名付けられ、現在まで大切に守り続けて参りました。

清酒道灌を支える酒蔵

現在は、滋賀県草津市の不盡蔵、兵庫県東灘区の千代田蔵、滋賀県栗東市の栗東ワイナリーの三拠点にて、日本酒をはじめ、ワイン、ブランデー、焼酎、リキュールなど、様々な酒の製造を行っております。
不盡蔵に隣接する道灌蔵は、売店および資料館として無料で見学が可能です。太田道灌をはじめ太田家の歴史を振り返る数多くの資料を展示しております。ぜひお立ち寄りください。

酒造りのこだわり

湖

地産地消

100%滋賀の原材料を使用した酒造りにこだわっております。
自社田では山田錦を有機農法で栽培しており、清酒の原材料として使用しております。
「純米大吟醸 不盡蔵」・「特別純米生原酒 渡船」は、令和五年GI滋賀の認定商品として登録されました。

水へのこだわり

清酒工場やワイナリーの原水は井戸水です。以前は水質の良い栗東ワイナリーの水を日本酒の洗米水・仕込水にしていましたが、草津工場の井戸を掘り直した結果、日本酒の醸造に適した水質の水が採取できるようになりました。
水は酒造りに欠かせない原料です。定期的な井戸掃除等を行い、水質分析に努めています。

洗いに始まり洗いに終わる

酒造りは何よりも「洗い」の工程が重要です。
酒蔵の中で行う最初の工程は米を洗う「洗米」であり、日々の道具の洗浄や蔵内の掃除も「洗い」といわれます。「洗い」を丁寧に行うことで、米本来の味わいや、より自然な酵母由来の香りを感じられる日本酒が出来上がるのです。

清酒道灌の美味しい飲み方

米の旨味を味わう

私たちが造る日本酒の最大の特徴は、米由来のふくよかで柔らかな旨味と甘味です。滋賀の豊かな水源と土壌で育った米を使用し、それぞれの米の味を引き立たせ、飲み飽きない味わいの日本酒を造っております。

料理を引き立てる食中酒として

日本酒は米の磨き具合によって「味の濃淡」を、酵母の種類によって「キレ」「香り」を調整し、食事を引き立てる脇役として楽しんでいただけるような酒を多く造っております。鮒ずしやホンモロコなどの湖魚料理や近江牛といった滋賀の名産品との相性も抜群です。